トーンとグレースケールの違いとは?混在させても大丈夫?

はじめに

一律に『漫画』と言っても、最近は色々な種類の漫画があると思います。
全ページ着色まで施したフルカラー漫画や、スマートフォンで見る前提で構成されたタテガキ漫画、動画用に1コマずつ別々に描いた漫画もあるかもしれません。

今回は、その中で最もベーシックとされるモノクロ漫画の作成時によくある、『トーンとグレースケールの混在』について解説していきたいと思います!

トーンとは?グレースケールとは一体?

そもそもこの二つ、実は種類(ジャンル)が違うモノなんです。
それぞれ詳しく解説していきます。


トーンとは?
トーンとは、透明なフィルムに様々な模様を印刷したシール状の画材のことです。
規則的な点を並べ灰色を表現したものから、モヤモヤやトキメキといった心情を表現した模様、洋服の柄まで幅広い種類が存在しています。

アナログ原稿(紙の原稿用紙)の場合は、トーンを線画の上から貼り付け、カッターやデザインナイフを使い貼りたい部分に合わせて、余分な部分を切り離していきます。
デジタルで使用する場合は、グレーで着色した部分がトーンに変換される便利な機能もあり、多くの方はそれらを活用して作成していくと思います。
トーンはアナログとデジタルどちらも濃淡を黒い点を任意の間隔の広さや点の大きさで表現しているため、一見グレーに見えますがよく見ると黒一色で構成されているのです。

グレースケールとは?
一方、グレースケールとは灰色を黒の点だけでなくグレーでも表現できるデータの種類のことです。

グレーがそのまま扱えることが転じて、漫画界隈ではしばしば『濃淡をトーンではなくグレーで着彩した原稿』のことを指すことがありますね!
カラーパレットのグレーを使ってキャラクターの髪や服などを塗っている場合、いわゆる『グレスケ』の漫画となります。

厳密に言うと、グレースケールとは画像や写真において光度の明暗以外の情報を含めない色の表現方法の一種です。
データの場合、白と黒の間のグレーの濃淡を254つの灰色で表現しています。

トーンとグレースケールの決定的な違い

この二つはどちらも漫画で使用される方法で、一見どちらも『濃淡を表現する』という点では同じもののように思えますね。

しかしデータ的な意味では決定的に違うモノなんです!

トーンは、グレーを黒い点の集まりに変換して表現していましたね。
しかしグレースケールはグレーをそのままの色で塗っています。

つまり、濃淡を表現するために使用している“色”が違うんです。

これは画面上で見ている分には何も問題ありません。
もしグレーで塗った面の上にトーンを貼ったとしても、違和感なく表示されるのです。
しかしそれは落とし穴!

トーンとグレースケールが混在したデータを紙に印刷してみると途端に、画面で見たものと違った雰囲気で印刷されてしまいます。
結論から言うと、グレースケールとトーンを重ねるとモアレになってしまいます。

モアレについての詳細は漫画の天敵『モアレ』の攻略法!をご覧ください。

どうしてこうなってしまうかを簡単に解説していきましょう。
トーンを印刷する場合は、原則『均等な形の真っ黒(モノクロ2階調)な点』を使用しなければなりません。
この点がぼやけて輪郭がグレーになっていると綺麗に印刷をすることが出来ないのです。
反対に印刷でグレーを再現したい時、トーンと同じく高密度な点の集まりでグレーを表現します。

つまりこの二つを同時に印刷する場合、高密度な黒の点々(グレー)の上に違う間隔の黒の点々を配置することになり……。
するとそれぞれの点が重なったりズレたりを繰り返し、重なったところは濃く、ズレたところは薄く見えて最終的に奇妙な柄が現れてしまうのです。
それがモアレという現象の原因なのです。


トーンとグレースケールを混在させるには?

とは言えトーンとグレースケールを同時に使用したい時もあるかと思います。
例えば基本はグレースケールで濃淡をつけているけれど演出効果部分はトーンで貼りたい、キャラクターはグレースケールで塗りたいけど背景はトーンを使用したいなど、同じ原稿で併用したい方もいらっしゃるかもしれません。

そんな時にモアレを回避する一番の方法は、『トーンとグレーを重ねない』ことです。

原稿のモードは[グレースケール]で作りつつ、トーンの部分だけキッチリと黒一色で作成すればモアレにならずそれぞれを併用することができます。
グレーの面とトーンが重なるとそこがモアレになる可能性があるので、なるべく重なっているところは削除するようにしましょう。

デジタル環境で重なっている部分を一括削除する方法

1.グレースケールで着色しているレイヤーを選択。
2.[レイヤーから選択範囲]を使用。(ツールによって機能の名称は異なります)
3.選択範囲を維持したままトーンのレイヤーを選択。
4.選択範囲を消去。
これで重なっている部分のトーンだけを消すことができます。トーンを優先したい場合は逆のレイヤーを使用して上記を行ってみてください。

まとめ

いかがだったでしょうか。
長年愛されてきたトーンの網目の心地よさも、なめらかで美しいグレースケールも、どちらも綺麗で捨てがたい表現方法です。
表現したいものによって適した方法も変わってきますので、どちらかを諦めるという必要はありません。
一件混在が難しそうなトーンとグレースケールも、使い方によっては併用することができますので、上手に使って素敵な本を作ってみてください。

なないろ堂ではこのほかにも原稿作成に関する様々な豆知識を深堀したコラムを連載しております。
よくある不備の例で言えば……、
難しいのに超大切!カラープロファイル編
ベストなノンブルの付け方をご紹介!
などなど、原稿を作る上で大切なことをご紹介しています。
そちらもぜひチェックしてみてくださいね。

また、なないろ堂では試し刷りという格安で自分の絵でサンプル出力できるメニューもございます。
もしモアレや濃淡のバランスなどが気になる時はそちらのメニューをご活用いただくこともオススメです。

原稿を作る中でもし不安なことがあれば、ぜひお気軽にお問い合わせください!
皆様からのご注文、心よりお待ちしております。

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